県議会「費用弁償」を実費支給にする案、自民党の反対で否決 

今年の6月、埼玉県議会の会派「無所属県民会議(石川所属)」が提案し継続審査として賛否が先送りされていた定額支給の「費用弁償」を実費支給にする案が、今日開会の埼玉県議会で否決となった。

自民党が反対、提案した無所属県民会議のほか、民主党・無所属の会、公明党、共産党、改革は賛成したが、自民党が埼玉県議会の過半数を占めていることから否決となった。

 

費用弁償は、議員報酬とは別に議会会期中などに招集地である議事堂に行くことで、いわば自動的に支給される。応招旅費と呼ばれ、交通費としての性格がある。

これまで「報酬の二重取り」「お手盛り」など多くの批判を浴びていた。

埼玉県議会では、距離に応じて1日あたり6000円から1万200円が定額支給される。

無所属県民会議では、この定額支給を鉄道賃など実際にかかった費用だけの支給とする実費支給方式にする案を提案していたが、今日の採決では自民党からは何の討論もなく否決された。

 

(ちょい一言)

費用弁償を定額支給方式から実費支給方式にする案は、無所属県民会議がつくり自民党以外の他の会派の賛同を得ていたが、これが頓挫した。

反対の理由としてあげられたのは、「議員の処遇に関することについては、より多くの会派の賛同、協力が必要で、これまでは自主的な協議機関で、協議、検討をしたから」「47都道府県中、36の都道府県が定額または、定額に実費を加えて支給している。定額方式が一般的なので」というもので、反対するための反対理由としか言いようがない。

議場では、自民党議員から「自分たちだけもらわなければいい(費用弁償の支給を受けなければいい)」との野次が頻発し、あくまで自民党は定額支給で費用弁償を受け続ける意思表明をするかっこうとなった。

以下に、自民党の反対に対して私が議会で述べた討論を掲載する。

 

石川ただよしの費用弁償を実費支給とする案への賛成討論

「無所属県民会議を代表して、これまで定額で支給されていた費用弁償を実費支給に改める議第13号「埼玉県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例」への賛成討論をします。

 

この案は、費用がかかってもかからなくても定額で議員一人ひとりに支給されてきた費用弁償、とりわけ交通費としての性格をもつ応招旅費を実際に使用した額だけの支給とする案です。

広く県民にはその実態が知られてはいませんが、現在は、会期中などに、例えば自宅から招集地である浦和の議事堂までの距離に応じて1日あたり、10キロメートル未満で6000円、50キロメートル未満が8100円、 50キロメートル以上が1万200円ほど支給されます。

現行制度では、県議会の隣に住んでいても定額で6000円、50キロ未満の移動で電車賃が例え往復1000円かからなくても条例に従い8100円が、いわば自動的に支給されます。

この現状は、どう考えても県民感覚とかけ離れています。できるだけ早く改善する必要があります。

この費用弁償を実費支給とする案を審査した総務県民生活委員会では「議員の処遇に関することについては、より多くの会派の賛同、協力が必要で、これまでは自主的な協議機関で、協議、検討をしたから」などと反対理由が述べられました。

しかしながら、我々は、正にできるだけ多くの会派と正々堂々と公開の場で議論し、賛同を得るために6月定例会にこの案を既に提案していました。ところが、6月定例会で後の議会で審査をする「継続審査」の決定がされ、継続議案になったにもかかわらず、今月8日の委員会まで一度も委員会が招集されることがなかったのが事実です。

そして、今月8日の委員会では、特に議論がないまま否決となりました。既に提案され継続審査となっているこの案に、前定例会ならまだしも今議会で「今までは自主的な協議機関で検討していたから」反対との理由は成立しません。

また、委員会で反対する理由としてあげられた「47都道府県中、36の都道府県が定額または、定額に実費を加えて支給している。定額方式が一般的なので反対」という理由もありました。他の県議会もそうだから反対するという理由は理解できません。県民感覚とかけ離れていると言わざるを得ません。

しかも実際には、費用弁償の実費支給は、平成16年の三重県議会に始まり、その後、平成20年以降は秋田県議会など6つの県議会が実費支給をはじめています。大阪府議会は、応招旅費自体を廃止しています。一般論を出すならば、今は費用弁償の実費支給方式が議会費見直しの一つの流れともなっている事実も真剣に受け止める必要があります。

 

今回の案は、定額支給を実費支給に改めるという極めて単純明確な改正です、これを改めたことによる事務作業量は、初めは多少、増えるかも知れないが、さほど変わらないだろうとの議会事務局の見解も得ています。

今年度に埼玉県議会で支給される費用弁償、応招旅費は、議会事務局の試算では、現行の定額支給で約4600万円の支給総額から、仮に電車賃の実費支給で計算した場合には、約730万円の支給総額となり、年間約4000万円の財政の節約効果が期待されることも明らかになっています。

実費支給を先送りにすればするほど、財政の節約効果は少なくなります。速やかに、今すぐできる改善に取り掛かかるべきです。

 

埼玉県議会は現状の県民感覚とかけ離れた費用弁償の支給実態から、財政の節約効果が期待され県民感覚に沿う実費支給へと支給方法を改めるべきことを指摘し、本案に賛成の討論とします。」

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