急遽 学童保育委託先を変更 

 

 急遽 学童保育委託先を変更
  久喜市は、2月29日の市議会全員協議会において、放課後の小学生を預かり保育する学童保育事業について委託していた2箇所(久喜児童クラブ、江面児童クラブ)を、受託先の不適切な会計処理などが発覚したことから変更することになったことを明らかにした。
市は3月1日、2日に保護者への説明会を開催したが、急な委託先変更について不満の声が高まっている。

市の説明によると、久喜市は国、県の補助を受けてこれまで学童保育事業を民間の2団体に委託していたが、その内の1つの団体について、委託先の職員による内部通報から県が監査を行った結果、不適切な会計処理などが判明した。
その為、市は県から早急な委託先の変更と国と合わせて補助金の返還を求められている。補助金額は加算金を合わせて1777万円にのぼると見られている。

市では県の指摘を受けて行った調査によって、県に学童保育を実施する団体として届け出た「父母会」が実体として存在しないのに市と契約し、補助金を交付していたことから、今後は委託先を別の団体に変更し、さらに補助金を不交付とすることを決めたが、入所している児童などへの影響を考え、当面は現在の土地建物、物品類を現在委託している団体の実体である社会福祉法人春洋会などから借受け、現在の保育サービス低下がないことを基本に調整しているという。
また、今まで学童保育の延長を「はるみ保育園」の延長保育と一緒に行っていたが、今後は本来の受託していた施設である「久喜児童クラブ」の施設で実施するという。

今回の件までの経緯(市の発表による)

昭和40年代 はるみ保育園を卒園した児童の保護者からの依頼で、放課後児童対策として学童保育を開始。

平成3年頃 市の放課後対策事業として委託契約を行う。

平成10年 児童福祉法改正により、県知事あてに届けを提出した事業所は20人以上の児童の放課後児童健全育成事業ができることから、久喜児童クラブは「はるみ保育園(社会福祉法人春洋会)」の理事長O氏を代表にした父母会の規約を添付した上で事業開始届けを埼玉県に提出。

平成19年9月27日 埼玉県子育て支援課から「はるみ保育園(社会福祉法人春洋会)」の保育士から内部告発があったという連絡が久喜市に入る。

同年10月17日 内部告発を受け、県が「はるみ保育園」の各種帳簿の確認と職員の面談を実施した結果、不適切な会計処理や保育園の施設長が代表となっている学童保育(父母会)の経理が保育園の経理と一体となっているということが判明する。

同年11月19日 県職員同席のもと、久喜市がこの学童保育の実態調査をした結果、経理面について以下のことが判明した。
・ 保護者からの保育料を現金管理しており、通帳等に記載がない。
・ 収支の帳簿や領収書が整備されておらず、保管場所が代表者の自宅になっていた。
・ 学童保育の延長保育児童の夕食費用が保育園会計から支出されていた。
・ 雇用に関する書類がない。
・ 保育園で雇用された職員が学童保育の担当者として勤務しており、給与が保育園会計から支出されている。
・ 保育園の延長保育に学童保育の指導員が関わっている。
・ 学童保育の入所要件である留守家庭児童の確認書類を申請時にとっていない。

(ちょい一言)
昨日、一昨日の保護者への説明会では、市から今回の件を踏まえて、これまでの委託先から新たな委託先に学童保育の委託が変更になることから、入所金3000円の納入が必要になったという説明があったという。

保護者としては、既にこれまでの委託先に入所金10000円を納入していることから、市の説明に納得ができないという声があがっている。

納得ができないのは当然だ。何の落ち度もない保護者が委託先の不適切な会計処理と実体のない団体と委託契約していた市の一方的な契約変更により、新たな負担が生じたのだからたまったものではない。しかも既に10000円は納入している。

3000円は新たな委託先の団体への入所金なので、納入はしなければならない。
では、この納入金を誰が負担すべきなのか。
もちろん、第一義的には子どもを預ける保護者である。

しかし、この3000円とは別に、今までの学童保育を利用するにあたって納入した10000円は団体が保護者に返還すべきだろう。
なぜなら、保護者は団体と市の委託契約を前提として10000円を納入していたが、その団体自体が実体のないもので、しかも団体と市の委託契約が一方的に解消されたことに起因して、この団体と個々の保護者との利用契約も解除され、それでも学童保育の利用を希望するには新たな団体に入所しなければならない状態が生じたからだ。

団体は、入所金10000円を返還すべきであり、団体には実体がないにも関わらず市が委託契約を結んでいたことで、保護者が10000円の入所金を納入していたことから、市は団体に保護者への10000円の返還を求めるべきだ。 この一件の背景には、高度経済成長によって夫婦共働きが進行したことと、これに伴って急速に高まった放課後児童の保育需要の高まりがあった。昭和40年代からこの傾向は顕著となり、市がこの需要を満たすために完全に供給不足となっていたこの事業や他の保育事業を、今回の団体などと協力しながら何とかやりくりしてきたことは分かる。

しかし、昨日、一昨日の保護者への説明会では、団体代表である施設理事長などが出席しなかったことや市側の説明態度に対して不満の声があがっていると聞く。事の真相や今までの経緯を保護者に伝えると共に今後の対応を誠心誠意行わなければ、保護者、市民の納得は得られまい。

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