消える市民の森構想  

 

消える市民の森構想
 今日開会の久喜市議会に、市民の森をつくるために積み立てていた基金を廃止し、これまで積み立てていた金を通常の一般会計予算として使用する案が提案された。

この基金は、「久喜市緑と森のふるさと基金」として平成元年12月からはじまった。
元金は、当時の竹下内閣時に「ふるさと創生」として全市町村に交付された1億円で、平成14年まではこれに市の予算から繰り出して積み立てを行っており、現在は約4億2千万の積み立てとなっていた。
基金の目的は、市内にふるさとの森を創造をするためのもので、市では、市民にも寄付をもとめていたことから、寄付金約7万円もこの中に含まれている。

今回、基金が廃止になることから、これまで積み立てていた森のための費用、約4億2千万円が久喜市一般会計補正予算に計上され、今後は市の様々な事業に予算配分される予定となっている。
市では今回の基金廃止について、次年度の予算編成上、現在の経済状態からは税収が落ち込み数億円の歳入不足が生じると見込まれることから、やむを得ず基金を廃止するとしている。

これに対し、今日、市内の環境団体からはこの議案の撤回を求める活動なども行なわれている。

(ちょい一言)
これは理解しがたい。
基金は、家庭でいう「目的をもった積み立て貯金」であって、一般会計から切り離すことで会計を独立させ、目的外の使用禁止や越年度金として認められている制度だ。これを、他の金がなくなったからと言って廃止、取り崩して他に使うことは理解し難い。基金のもつ意義を失しかねない。

税収が不足する見込みということは理解できるが、廃止案の前に先ずは税収不足などの積算を公開し市民に理解を求める姿勢が必要だった。
この基金には10年以上にも渡って他に使ってもよかったはずの当時の久喜市民の税金の一部も積み立てられていることを考えると、今までの約20年の経過を看過して拙速に基金を廃止することはできないだろう。

これまで、市は先進的と言われるほど、施策や政策決定に市民参加を行ってきた。このことは正当に評価されてしかるべきだが、今回の基金廃止にはこのプロセスは微塵も見られない。

これまでも市内の一部では、久喜市が基金をそのまま維持して合併をすると、合併後の旧久喜市域以外に金が使われる可能性があるので、合併前に使い切った方がいいという意見も確かにあった。しかし、合併を絡めて考えるならば本来は合併前に場所や時期を含めた森などの包括的な構想をまとめ、合併協定項目として検討した上で構想を新市で引き継ぐことでこれは回避されたはずだ。

この案は12月5日に本会議で議案質疑、12日の市民経済委員会で議案の審査が行われる予定となっている。

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