自民党県議団だけの反対により議員報酬、知事等の報酬を削減して削減分を新型コロナウイルス感染症対策の原資とする2案が否決 

10月14日、今日の埼玉県議会9月定例会において「無所属県民会議」が提案していた1人あたり議員報酬を月額20%、12月期末手当20%を減額し、総額約8,700万円を新型コロナウイルス対策の原資とする案について、10月8日の総務県民生活委員会の審査結果と同じく県議会最大会派の自民党だけが反対して否決された。
これに対し、提案した無所属県民会議、民主フォーラム、公明党、共産党、無会派の自民党を除くすべての会派、議員は賛成した。
また、知事、副知事等の報酬を同様に10%から30%年内いっぱい減額して、新型コロナウイルス対策の原資にする案も自民党県議団だけの反対で否決となった。

本会議においては、反対した自民党県議団から反対理由は何も述べられなかった。

<ちょい一言>
委員会では述べたにしても本会議ではまったく、反対理由を言わずに自民党県議団は同案に反対し否決をした。
議会は、可否の結果がどうであろうと公開の場で議論を経て、論点を整理してそれぞれの視点で賛否を決定する場である。
重要案件に、考えを明らかにせず反対する姿勢は理解できない。

私は審査をした総務県民生活委員会で自民党県議団から質疑を経ないで反対討論だけがあったので、それへの反論を込めて下記の本案への賛成討論をしました。
参考までに、私の発言概要を下に記します。

「議23号賛成討論」
無所属県民会議が提案した議員報酬の月額20%、12月期末手当の20%を条例公布の日から年内いっぱい削減し、削減した額の合計約8,600万円を県の新型コロナウイルス感染症対策の原資とする案について、会派を代表して賛成討論を行う。

この案は、10月8日の総務県民生活委員会で審査され、「県議会自民党議員団」だけの反対により否決となった。
反対する理由として「人事委員会の給与勧告の仕組みが、不測の社会経済情勢に寄り添って行こうとする考えに則っている。」「埼玉県人事委員会の勧告を待って行われるべき。」との主張がある。
しかし、人事委員会の勧告制度は、地方公務員法第14条「情勢適応の原則」で「給与などが社会一般の情勢に適応するように」公務員の給与を民間給与水準に準拠するよう勧告を行う制度である。
公務員の給与水準を民間に準拠させる制度と議員報酬を自発的に削減して、新型コロナウイルス対策の原資にするものとは、おのずと趣旨、目的が異なる。制度を混同することなく、論理的に整理すべきである。

また、「使途を希求することは、公職選挙法が禁止している議員の寄付行為と見られかねない危惧が生じる。」と推測しているが、推測の範疇では反対理由としては認められない。現に他県や県内自治体も既に同様の基金に積み立てて新型コロナウイルス感染症対策の原資としている。「寄付行為と見られかねない」というならば、学説や出典を明らかにすべきである。
「パフォーマンスに他ならない」「全国的に見ても、議員報酬削減の統一的な見解も出ていない」との反対理由もあった。「全国的な議員報酬削減の統一見解」は必要ない。個々の自治体・議会が自主的に判断すべきことである。
「パフォーマンス」という言葉は、議員自らの身を切る改革や取り組みに反対をする人達が使いがちな便利な言葉である。便利な言葉を使うことで、「反対」していることを正当化している。
さらに、「議員報酬削減ではなく県民の意見や要望を踏まえて、県議会議員としての職責を十分に果たすことが議会制民主主義に求められているから」反対としているが、「県議会議員としての職責を十分に果たす」ことと「議員報酬を削減して新型コロナウイルス感染症対策にあてること」は対立しない。
埼玉県議会は、自立的な議会として県民の為に議員報酬、期末手当を削減し新型コロナウイルス感染症対策の原資とする決断をすべきである。
以上、申し上げ賛成討論とする。

 

 


(写真:R2年10月14日 議会本会議で討論する石川ただよし)

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