自民党県議団から小学校3年生以下の留守番禁止など県民の生活実態を無視した条例案(虐待禁止条例の一部改正案)が提案・委員会で可決  大きな波紋を呼ぶ 

先週金曜日(10月6日)の埼玉県議会、福祉保健医療委員会で自民党県議団が提案し多くの批判の声があがっていた「埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例案」が提案者の自民党などの賛成多数で可決した。

これを受けて、13日の本会議でも自民党等の賛成多数で可決される見通し。

この条例案は、児童の「放置」を原則禁止として親などの擁護者に小学校3年生以下の児童は放置禁止、小学生4年生から6年生までは「放置」をしないように努力する義務を負わせるもの。

提案した自民党県議団は「時間の長短にかかわらず児童の放置はいけない。」として小学校3年生以下の児童だけの遊びや外出、登下校などは「放置」された状態で条例違反になるとしている。

小学校3年生以下の児童だけで留守番し擁護者(親など見守る人)がいない場合は、親などが「放置」したとして条例違反にあたる。

例として、擁護者がいない中で小学校3年生以下の児童だけで遊んでいる場合や短時間でも留守番をしている場合、高校生のきょうだいが小学校3年生以下の面倒を見ている場合も同条例上は18歳未満が児童にあたるため放置になるという。

条例が施行した後には、働き方や家庭のあり方、県民の行動にも大きな影響を与えることは必至だ。

委員会でもこの点について質疑があったが、提案した自民党県議団からは「放置」の定義は条例では行わず「放置は例外なくいけない。」として、厳格な改正後の条例適用を示唆した。もはや理念条例の枠を超えて、県民の権利・義務に踏み込む内容だ。

また、委員会で参考意見を述べた県や県教育委員会からも条例の内容に対して、実際の運用は難しいとする懐疑的な意見や「むしろ条例が形骸化するのではないか。」との見解も示された。

 

自民党県議団の条例案に対し「無所属県民会議(石川所属)」では“できるだけ放置がいけないことと社会が認知する必要性は認めるものの、自民党県議団の案は行き過ぎで県民生活の実態とかけ離れている”として、「小学校6年生までを放置しないように努める」にとどめ、現在の県民の生活実態に合わせた運用となる修正案を提案したが、自民党県議団などが反対し否決となった。

審査の過程では、自民党県議団は質疑など一切の発言はせず、自らの案に意見を述べて可決した。

 

委員会での可決を受けて、報道各社もこの事態を連日報道しSNSなどでも「子育てがしにくく埼玉県になる。」という意見など保護者や教育者、地方議員などから条例に対する厳しい反対意見が多数表明されている。

 

自民党県議団が提案した条例による令和6年4月1日以降の禁止事項の例(条例案と自民党県議団が本会議の審議、委員会審査で述べた見解を元に作成)

  • 親など擁護者(見守る人)がいない状態での小学校3年生以下だけの登下校
  • 親など擁護者(見守る人)がすぐに駆け付けることができない状態かつ危険がない状態と判断できない状態で、小学校3年生以下だけで通学班集合場所に行くこと。
  • 学校などからの帰宅時に、親など擁護者(見守る人)がいない状態で、小学校3年生以下だけで自宅で留守番をさせること。
  • 親など擁護者(見守る人)や18歳以上のきょうだいが近くにいたとしても、すぐに駆け付けることができない状態かつ危険がない状態と判断できない状態で、小学校3年生以下に留守番をさせること。
  • 親など擁護者(見守る人)がいない状態で、小学校3年生以下に室内外を問わず遊ばせること。勉強すること。
  • 親など擁護者(見守る人)がすぐに駆け付けることができない状態かつ危険がない状態と判断できない状態で、小学校3年生以下だけで回覧板を隣家に届けること。
  • 親など擁護者(見守る人)がすぐに駆け付けることができない状態かつ危険がない状態と判断できない状態で、ゴミ集積所にゴミを出しに行くこと。

 

<ちょい一言>

条例が13日の本会議で可決した場合、知事による拒否権も期待したいが、現在は定数93人の議会では、自民党(58人)と公明党(9人)を合わせて67人という圧倒的な過半数を占めている。

この状況では、知事の求めにより10日以内に可決した条例をもう一度採決する再議(地方自治法第176条)に付したとしても可決要件である出席議員の3分の2以上の賛成が得られ、結果を覆すのは難しい。

委員会審査では提案した自民党県議団から条例が可決した場合に、来年4月1日から「県は、市町村と連携し、待機児童に関する問題を解消するための施策その他の児童の放置の防止に資する施策を講じるものとする。」という条文についても議論になった。

待機児童対策を進めるのは、子育て支援の観点から行政の喫緊の問題とはいえ自民党が例示する小学校3年生以下の子供がいる家庭が条例違反にならないよう、県は市町村と連携して来年4月1日までに児童を預かり見守る施設や体制を完全にしなければならない。

今年度が残り半年を切って、県と市町村がこれを実行する予算や人員の確保ができると判断しているのか疑問である。それぞれの市町村の行政計画や予算編成に影響を与えることは必至だ。

自民党県議団は、今の県民の社会生活の実態をどう見ているのか。県や市町村の状況をどう判断しているのか。今回の条例案は理念型の条例だと繰り返し説明しているが、理想を追い求めすぎた結果、子育て家庭や児童の生活環境そのものを始め社会の実態を無視した条例案である。私は断固反対だ。

明日には何かしらの動静があるとの情報もある。自民党県議団は冷静に物事を判断すべきだ。

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